ゆっくりと、唇がお互い近づいてゆく。
「まっ!!健二どうしたんだよっ」
必死に逃れようと、腕を振るが、がっちりとつかまれ、ただただ体力を消耗するだけだった。
どうしたっていうんだ!!
「冗談だろっっ!!おいっ!タンマ!言うからっ、優夜との事、話すからっ」
優夜という言葉に健二がピクッと反応した。
「へぇ・・・あの転校生、優夜って言うんだぁ・・・」
いつの間にか、いつもの健二に戻っていたが、腕はまだ掴んだままだ。
「・・・優夜はつい最近、俺の家に住み始めた子。」
「へぇ〜・・・なんでまたいきなり。」
「よくは知らないけど、母さんが施設から連れてきたみたい・・・」
「ふーん。・・・そいつの事はよく分かったけど、どうして俺にそのこと隠したわけ?」
もう俺を疑ってはいないようで、手を俺の腕から離した。
「・・・それはっっ・・・俺も良くわかんない・・・・。隠してたのは誤る。ごめん・・・、でも・・・本当に良くわかんないんだ。」
こんな意味不明な理由じゃあ、いくら健二でも許してはくれないだろう。
怜はぎゅっと眼を瞑ってうつむいた。
「うん。わかった。」
優しく俺に微笑むと、頭をグシャグシャと撫でまわし、俺もごめん。と健二も謝ってきた。
「え・・・・」
呆然と、健二の顔をじっと見つめる。
「許してくれるの?・・・意味わかんない理由なのに?」
「え〜、なんで?普通に許すよー。それに意味わかるし。」
やはり、いつものように、へにゃッと顔をゆるませて笑ってくれた。
「意味わかんないだろ・・・普通。」
「えー、分かるよ〜、だって怜のことだから〜」
手をひらひらと振ると、パンを一口サイズにちぎって、口に放り込んだ。
「・・・・やっぱお前って・・・」
『優しいやつなんだな・・・。』そう言おうとしてやめ、心の中で呟く。
「??お前って、何?なんて言おうとしたの〜?」
「ふん。別に、意味わかんないヤツっって言おうとして可哀想だからやめただけー」
「えっー、ひどー。俺は普通にやってんのにー。」
相変わらず、へらへら笑いながら喋る。
この笑顔に内心ホッとしつつ、自分も飯にありつこうと、箸を持ち上げた。
『?どうしたんや優夜・・・窓の外に何かいいもんでも見つけたんか?』
窓の外を見つめにらみ付けている優夜に、喋りかけた。
「・・・・・べつに。」
「なんや〜、あいかわらず愛想悪いなー、そんなんやと、女の子に嫌われてまうで。せっかく美形やのに」
いややわー。といいながら両手を上に上げる。
転校初日から、良く喋る大阪弁に付きまとわれ、優夜は内心イライラしていた。
それに、さっきの怜と変なヘラヘラ男との光景がプラスされ、かなり頭にきている。
それは周りから見ても分かるはずだが、あえて空気を読まないのか、読めないのか分からないが、まったくお構いなしに能天気に話しかけてくる。
「・・・・おまえうっさい。」
「んーーー!!なんやてっ!今うっさいゆうたやろっっ、しかも俺はお前っちゅう名前やないっ、朝もゆうたやろっ。山口翔太や!いいかげん覚えんかい!!」
一人で騒いでいる翔太を置いて、優夜は教室を出て行った。
「あっ!ちょっ!ちょいまちぃっ」
後を追うように、翔太も教室を出た。<<戻る 進む>>
新キャラ登場っっ!翔太君・・・やっぱ関西人はいいね。
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テーマ : 自作BL連載小説 - ジャンル : 小説・文学